一眼レフ・ミラーレスやコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)には、様々な撮影モードがあります。
しかし、最近のカメラはオートモードのレベルがとても向上しており、マニュアルでの撮影をしなくても、撮りたかった写真が撮れるほどに技術が向上しています。
しかし、用途や状況に応じてマニュアル撮影をすることで、オートモードでは表現できない写真を撮ることも可能になります。
今回はカメラのマニュアル撮影について、どういったシーンで利用すべきかについて、実際の写真をもとに解説します!
※今回使用する機材はNikon D7500です。
SS・F値・ISOとは?
マニュアル撮影を語る上で、これらの要素は重要です。
シャッタースピード(SS)・F値・ISOの意味と変化させた時の特性を理解することで、オートモードでは撮影ができなかったシーンでの撮影も可能になることもあります。
シャッタースピード
シャッタースピードは早ければ早いほど、動きの早い動体にピントを合わせることが可能です。
ただし、シャッタースピードが早いということは、センサーに光が当たる時間も短いため、暗く写る傾向があります。
調整するシーン
天気の良い日中など、明るすぎて白飛びしてしまう場合。
シャッタースピードを早くする(1/4000~1/8000など)
子どもや動物など、動く被写体をブレずに撮りたい場合。
シャッタースピードを早くする(1/120~など)
夜景など、暗い場所で風景などを撮影する場合。
シャッタースピードを遅くする(1/8~30秒など)
F値
F値とは「絞り」のことで、数値が低ければ低いほど広く、高ければ高いほど狭くなります。
F値を大きくすることで、広い範囲にピントを合わせることができ、小さくすることでボケの大きい写真を撮ることができます。
数値が高い(狭い)ほど、センサーに光が当たらないので、暗く写る傾向があります。
調整するシーン
山などの風景や集合写真など、ピントを合わせたい対象が多い場合。
F値を上げる(F8~11など)
前ボケ・後ろボケを出す、大きなボケを出したい場合。
F値を下げる(F1.4~2.8など)
ISO感度
ISO感度とは、カメラが捉えられる光の感度(能力)のことで、数値が高いほど明るく写ります。
ただし、ISO感度を上げるとノイズが大きく、ザラついた写真になりやすい傾向があります。
調整するシーン
シャッタースピードは遅くできない、しかしストロボが使えず光量が足りない場合。
ISO感度を上げる(ISO800~6400など)
三脚などでブレない状況で長時間露光が可能かつキレイな写真を撮りたい場合。
ISO感度を下げる(ISO100など)
これら3つの要素を調整することで、その場に合った最適な撮影方法で写真を撮ることができます。
マニュアル撮影をした作例
それでは実際に「マニュアル撮影」をした写真を見てみましょう。
今回はマニュアル撮影のメリットを活かしやすく、夜に撮影を行いました!
撮影時は街灯の明かりと行き交う車の光で、そこそこ明るいはずですが、シャッタースピード1/15で撮影するととても暗い!
今度はシャッタースピード1/8秒と少し遅くしました。
1/15秒より若干、明るくなったように見えます。
写真を比較するとこのようになります。
ほんのわずかですが、シャッタースピードを倍ほど早くするだけで、これくらい明るくなります。
続いてはシャッタースピードをもっと遅く、3秒に設定して撮影しました。
ここまでシャッタースピードを遅くするとここまで明るく写ります。
違いは明らかですが、一応比較します。
このように、F値・ISO固定を固定しても、シャッタースピードを変化させるだけで、暗い場所でも明るく撮影することが可能です。
ただし、シャッタースピードを遅くすると、手ブレする確率が上がります。
この様な場面では三脚などを利用して撮影しなければなりません。
また、シャッタースピード3秒の画像を見ると、車の光が線になっているのがわかります。
遅くすればするほど車のライトの光は、「光の線」として撮影することが可能です。
しかし、車のライトを光の線として撮影しようとした場合、シャッタースピード30秒など極端に遅く撮影しなければなりませんが、長時間露光し過ぎるとこのように白飛びした写真になってしまいます。
周囲が長時間露光に適さないほど明るい場合はNDフィルターの使用、または「F値」を上げて絞ることにより調整が可能です。
NDフィルターとはサングラスのようなもので、レンズにフィルターを装着することにより光の量を調整することができるもの。
このようにF値を上げることにより、シャッタースピード30秒での撮影でも白飛びせず、車のライトを光の線のように写すことが可能です。
また、F値を上げたことにより、周囲全体にピントが合うような写真に仕上がります。
次はISO感度の変化による違いを見てみましょう。
カメラの位置は同じで、最初の写真と同様にシャッタースピード1/15・F値2.8でISO640に変えて撮影しました。
シャッタースピードを遅くできない場合にも、ISOを上げるだけでここまで写すことが可能です。
この程度の数値であればノイズなどの影響は大してありません。
続いてISO1250・ISO6400と感度を上げてみました。
ISOを上げるほど明るく写り、一見するだけでは「明るくなって便利」に思うかもしれません。
一枚目の写真では分かりづらいレベルでしたが、二枚目の写真のようにここまで大きく拡大すると歴然の差です。
このようにISO感度を上げると、暗い場所でも明るく撮影することができますが、感度を上げれば上げるほどノイズも大きくなるので留意しましょう。
シャッタースピード調整で面白い写真が撮れる?
シャッタースピードを遅くすると言うことは、シャッターが切れるまで光を捉え続けるということになります。
この仕組みを応用することで、光を使った絵を写真として撮影するテクニックがあります。
〇を書いてみました。(私に絵心はありませんw)
これはどうやって書いたかと言うと・・・
シャッタースピードを遅くして、カメラの前で光をグルグルするだけでできます。
今回は周辺がそれなりの暗さだったので、シャッタースピードは30秒で長時間露光しました!
ここで一つ疑問が残ります。
なぜ「手は写らない」のか?
実は長時間露光中は動きのある被写体は「ブレ」により、まるで消えたかのように写りません。
(30秒間じっとしている人は写ります!)
もう少しわかりやすく解説します。
この写真には私が写っていますが見えなくなっていますよね?
実はシャッタースピードを30秒にして、カメラに捉えられないように動き続けて撮影していますw
ではシャッタースピードを1.3秒程度に早くしてみます。
このように夜中の公園でおっさんが一人、カメラを前にライト片手に動き回っていますw
とても高速移動しているように見えますが、これはただの「大きなブレ」になります。
しかし、カメラはシャッターを切るまで常に光を捉えている訳で、動いた光が線のように描かれます。
撮影の仕方だけで、このような面白い写真も撮ることができます。
まとめ
いかがでしょうか?
今回はざっくりとマニュアル撮影について解説しました!
まだ理解ができない方にとりあえず覚えて欲しいのは、「ISO感度はできるだけ上げない」が重要です。
ISO感度を上げるのは「仕方がないとき」のみで、基本的にはシャッタースピード・F値で調整すればノイズの少ないキレイな写真が撮れます。
ぜひ、一度お試しください!
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